小説家になりたい一般人。

Open App

『終わりにしよう』


。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

殺人描写が含まれます。
苦手な方は読まず、飛ばすのを推奨します。

。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





「ねぇ、あなた。そろそろ終わりにしましょう。こんな事やっても、あの子は帰ってこないわ」
「うるさい。お前は黙って俺の言うことを聞いていればいいんだ……早く、次行くぞ」

妻を置いて、素早く次の所へと歩いていく夫の姿。
その姿を見届ける妻の表情は闇に満ちた表情で、夫にも呆れているようだった。
妻は夫の後ろを素早く着いていく。



そんな妻の姿はまるで、人間の形をした犬のよう。




「……てめぇら、俺の息子を知らねぇか!?」

ドアを蹴り飛ばしながらそう言う夫。
突然と現れた、不良のような夫に家で裕福に、幸せに暮らしていた家族は怯え立つ。

「な、なんだお前!!いきなり入ってきて!!」
「は、早く出ていかなきゃけ、警察呼ぶわよ!!」
「俺の息子を知らねぇかって聞いてんだ!」

怒鳴り散らかされる夫の声と、怯えた大声が夜中の街に響き渡る。これでは夫が捕まるとでも思ったのか、妻は空いている扉を閉め、室内に家族と夫と自身を閉じ込める。
そして、腰に潜めていた殺人用の包丁を取り出し人質にするかのように家族の一人の首元へと包丁を突き出した。

「ひ、ひえぁっ……!?」
「っあ、あなた……!!」
「……私たちの子供の在処を教えなければ、殺す」

そんな脅し文句を家族に妻は言った。
それに対し、家族は「お前らの子供なんぞ知らない」と震えた声とともに言い放った。

「よし」という夫の声が聞こえた瞬間、妻は家族の一人を殺した。壁や床に散らばる血痕と、家族の一人の悲鳴、バタッと人が倒れる音。

「……殺るの?」
「……」

妻の質問に、夫は答える間もなく悲鳴を上げていた一人を殺した。
夫婦の服には殺したであろう、返り血が着いており、とても外に出れそうにはなかった。が、夫婦はこの家にある羽織りものを羽織り、外に出た。
そして、妻が言った。

「ねぇ、あなた。そろそろ終わりにしましょう。こんな事やっても、あの子は帰ってこないわ」

7/15/2024, 2:43:53 PM