『雨に佇む』
雨の日の公園。
雨に濡れた木々がより青々と深く色づく。
雨なのに噴水出るんだなあ。
大きな池には雨なのか、噴水の飛沫なのか分からない無数の波紋ができては消えている。
イヤフォンをスマートフォンにつなぐ。
再生ボタンを押す手が止まる。
あぁ、これでいいな。
イヤフォンを耳に差したまま、手元の機械からはなんの音も聞こえない。車が走っていく音。絶え間なく出続ける噴水の音。雨の降る音。ジョギングしてる人の足音。犬の息遣い。
田舎も音だらけだな。なにが静かだよ。
訳もなく怒る。
あーあ、本屋行って帰ろう。
駐車場に戻って、車のエンジンをかける。
好きな音楽をかけて公園を後にする。
別にわけがなかった訳ない。
聴きたくない音を聞こえないフリしただけ。
確実に感じた寂しさに、その思いをむけた人に。
なんであいつなんだよ。
8/27/2023, 1:25:34 PM