しじま

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 君はもう、私のことなんか覚えてないだろう。

雑踏のなか、スーツ姿の君とすれ違う。

歩を緩めた私のことなんて目もくれず、さっさと君は人混みに紛れていった。

私は後ろを振り返ろうとして、止めた。

そうして何事もなかったかのように点滅し始めた信号機に急かされるように歩きだす。


 君は、私のことなんて覚えていないだろう。

すれ違った君は昔と変わらずに綺麗だった。

少し歩いてから振り返った私は、雑踏に消えていく君の小さな背を目で追った。

 君はもう私のことを覚えていないだろう。

 だから、私も、もう忘れよう。

テーマ「すれ違い」

10/19/2023, 4:52:51 PM