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「光の回廊」

十二月も後半に入った。今年の終わりもすぐそこまで迫ってきている。街はクリスマスに乗っ取られて、あらゆる所がイルミネーションで彩られた光の回廊と化している。

クリスマス。キリスト教の降誕祭。イエス・キリストが産まれたことを祝う日。日本においては由来なんて気にせずにサンタクロースの訪れを楽しんだり、恋人同士が愛を確かめ合ったりする方が一般的だ。ちなみにフィンランドにはサンタクロース協会という組織があって、そこには公認サンタクロースが所属している、というのは知る人ぞ知る事実である。

サンタクロースの真実を知って、サンタクロースの訪れがなくなって幾年か。恋人もいないとなるとクリスマスの訪れを感じるのは街のラッピングくらいだ。あちこちにあるイルミネーションは年々派手さを増すようで、ライトアップが映えるような時間まで働いた後の目には沁みる。色とりどりの電気を見て、感じることが電気代の心配になってしまった寂しい大人としては、クリスマスも年末の繁忙期の一日に過ぎない。

曜日感覚も失うような慌ただしい日常の中で、クリスマスイブに残業をせずに済んだのは、他の社員皆に大切な予定があるからだ。残業なんてしてたまるか、といつになく仕事に集中する同僚が多かったおかげで、予定のない寂しい私も定時で退勤できたのだから、浮ついたイベントにも感謝すべきなのかもしれない。

この時期には珍しく早くに帰宅できたけれど、外食するには肩身が狭い。夕食はいつも通り冷凍ストックを使った鍋にすることにして、折角だからたまにはゆっくりお風呂にでも入って自分を甘やかすことにする。貰い物のバスボムを使って熱めのお風呂でのんびりと。脱衣所に置いたスマホから流れるクラシックが、心の緊張もほぐしてくれて、久しぶりに心も身体も温まった気がした。

聖夜に考えることでもないかもしれないけれど、結局自分を一番に大切にできるのは自分だ。愛も恋もなくたって、サンタクロースが来なくたって、毎日それなりに幸せにやっていける。数日前に届いて、見て見ぬフリをしていた、母親からの『そろそろ結婚とか考えてるの?』なんていう耳に痛い連絡に、そろそろ返信しようと思えた。
『流石のサンタクロースも私以上に私を大切にしてくれる人を届けるのは無理だったみたい』
『一人でも充分幸せだから心配しないで』

12/22/2025, 1:56:58 PM