lapis lazuli

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同僚と登山に来た

県内では割と有名な

そこまで高くない山だが

八分目位のところで

喉が渇いたので

同僚には先に行っててもらい 

少し休んでから行くことにした

休憩所 と書かれている表札の下に

小さいベンチがあったので

座って水筒から水を飲んだ

数分後ぐらいだったとおもう

…よう …よう

掠れた鳴き声のようなものがきこえる

あたりを見渡すが さっきまで犇いていた

登山者たちは 誰もいない

冷たい風が吹いた

…よう んだよう…

足元の1メートルぐらい下に

石があり そこから声がする

近づいて耳を当てた

…んだよう

せるんだよう…

…いつまで… 待たせるんだよう…

ぎょっとして 耳を離した

石は心無しか 顔のように見えた

いつまで 待たせるんだよう!!!

急に大声になり 

驚いた俺はそのまま後ろに転倒した

声が掠れるまで 石は叫んだ

やがてまた 聴こえなくなった




落ち着くために 煙草を吸った

震える手で 一本吸い終わると

心配そうな顔の同僚が戻ってきた

なんでもないんだ

と言いながら

こいつ 本当に俺の同僚だったかな

ふとそんな考えがあたまを掠めた

いつのまにか また増えていた

周りの登山者に混ざって

再び頂上を目指す

やけに皆 生気がない

そういえば俺は

いつ登山をはじめたっけ

いつから登ってるっけ

ずっと八合目だったりして

そんなことを考えながら

次の一歩を踏む





10/22/2022, 12:50:15 AM