ヨルガオ(短編小説)

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私はよく、物を無くす。

「これじゃない?美希が落としたハンカチ」

『ん〜…、多分これだ。ありがとう』

「美希ってば、手洗い場の下にあったよ。落とした時に蹴っちゃったんじゃない?」

『そうかも…ごめん。気をつけるね』

無くした物は、友香が見つけてくれる。

本当に頼りになる親友だな。

「…そろそろ家に帰らないといけないんじゃない?」

『そうかも…』

「はい、じゃあ私の腕に捕まって」

「白杖、ちゃんと持った?」

『ちゃんと持った。行けるよ』

…………。

いろんなものを見つめるあの瞳が嫌い。

私だけを見ていて欲しい。いや、感じて欲しい。

……そうだ。

みんなが美希の事を迷惑だと思えばいいんだ。

そのためには目を潰さなきゃ。

私だけの美希になるために。


ー今一番欲しいものー

7/21/2023, 10:47:59 AM