"快晴"
早朝でもパーカーがいらないくらいになってきたので、ハナを久しぶりに地面の上を歩かせる事にした。
ハーネスを付けて床に下ろし、そのまま歩いて外に出ようとするとハナが『いいの?いいの?』みたいな顔で俺の傍をウロウロと忙しなく動くする。
「いいんだよ。暖かくなってきたから、久しぶりに地面歩けるぞ」
そう言うと、言葉の意味を理解したんだろうか。動きが収まって扉の前に行き、座って俺が扉を開けるのを待ちだした。
「本当賢いな、お前……」
ゆっくり扉を開くと、するり、と開いた隙間を縫って我先にと外に出ていった。
案外この時を楽しみにしていたのかもしれない。
小さく笑うと、後に続いて外に出る。
風はまだ少し冷たいが太陽の光で暖かく、風の冷たさを感じさせない。
空を見上げると、雲ひとつ無い青空が広がっていた。
「どうだ?久しぶりに地面踏みしめる感想は?」
言葉を話せない動物に感想を求めるとは、一体いつからメルヘンチックになってしまったんだろう。
少し恥ずかしさに俯いていると「みゃあんっ!」と元気な鳴き声で答えた。見ると、嬉しそうに身体を弾ませながら足踏みをしている。
「良かったな。綺麗に晴れて」
「みゃあん」
嬉しそうに鳴くハナを見て口角が、ふわり、と上がる。
そして「行くか」とハナに声をかけると「みゃあ」と答えて、どちらからとも無く歩き出した。
4/13/2024, 12:04:53 PM