ミントチョコ

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題 狭い部屋

ここは狭い。
だってワンルームしかない。

実家から引っ越してきたばかりだから、凄く狭く見える。

でも、遊びに来た友人に言わせると、それでも良い方だったりするらしい。

もっと過酷な環境で暮らしている人もいるって聞いた。
お風呂共同とか。

・・・それは勘弁かなぁ。

私は、部屋を見回した。
実家から持ってきたものはわずかしかない。

この狭い部屋に入り切らなかったから、泣く泣く置いてきたものが沢山ある。

ピンポーン

チャイムがなる。

「はーい、入ってよ、開けといたから」

大学に入って出来た彼氏だ。

「おじゃまします。へぇ、きれいだね!カヤらしいナチュラルな部屋だね。居心地いい」

「本当?嬉しいな、さ、座って、狭いけど」

「うん」

彼氏が座る場所を迷っている。だって、座れる所が床かベッドしかない。

「ベッドに座ってて」

「あ、うん・・・」

彼氏が戸惑いながらベッドに座る。
何となくきまづさを感じながら私はインスタントコーヒーを作ると、彼氏に手渡す。

「どうぞ」

「・・・あ、ありがとう・・・・」

「ごめんね、まだ机買ってなくて、また小さいの、買うよ。ベッドで座ったまま飲んでくれる?」

「そうなの?じゃあ今度一緒に家具屋さん見に行こうか?」

私の言葉を聞いて、彼氏が提案してくれる。
デートだ!

「本当?もちろん!!行こうよ」

「じゃあ、次の休日ね」

さっきの緊張感がほどけて、私も彼氏も笑顔になる。

「ちょっと、机買ったら残念だけどね」

冗談めかして彼氏が私には言う。

「だって、カヤとこうして近くで座れなくなるから」

「あっ、もう、フミヤってば」

私は照れて赤くなってしまう。

「今日は部屋に招いてくれてありがとう」

私を見てフミヤは微笑む。

柔らかい笑み。好きだなぁと思って私も微笑み返す。
私が困ってるから話題変えてくれたんだ、きっと。

「うん、どういたしまして」

2人で笑顔でコーヒーを飲む。
午後のひとときがとてもとても幸福だ、と感じながら。

6/4/2024, 11:24:17 AM