駒月

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 幼馴染の彼女をベッドに組み敷いた世界は新鮮で。こんな日が来るなんて昔は思わなかった。
 彼女は顔を真っ赤にして俺を見上げている。動揺して泳いでいる目が可愛い。
 キスの雨を降らせると恥ずかしがりながらも目をつぶって俺に身を委ねる……今にも理性がぶち切れそうだが。

「あれ……?」

 間の抜けた彼女の声。
 俺はキス攻撃をやめてベッドに座る。その行動が想定外だったのだろう、彼女は頭の上にはてなを浮かべて上体を起こした。

「ごめん、今はそれ以上はできないんだ」
「え……?」
「君のお父さんとの約束でさ。『うちの娘を託してもいい。でも20歳までは手を出さないでくれ』って言われてるんだ。お堅いよねぇ……ま、君のお父さんらしいけど」

 ファザコンの彼女にとっては嬉しいことだろう。自分を思っての発言なのだから。

「20歳って……あと何年待てばいいのさ」
「えぇと、君は今17だから……あと3年だね?俺も我慢するから一緒にがんば」

 頑張ろうよと言わせてほしかった。
 が、顔に投げられたクッションが直撃して言えなかった。

「バーーカ!そんなに待てるかっての!もういい、別れる!バイバイ!」

 怒った彼女は部屋を出て行ってしまった。そんなに俺のこと好きだったのだろうか?
 とにかく、約束は守ってますよお父さん──

 さあ、これからどう仲直りしようか。





【20歳】

1/10/2024, 11:22:04 AM