もうどれくらいの間この階段を登っているのだろう。
妻と子供はどうなっているだろうか。
私が居ないことを嘆いているのか、もしかしたらもう忘れているのか。
先に逝ってしまったのか。
仕事はどうなった?
さすがにクビだろう。会社自体がなくなっているかもしれないな。
ああ、こんなこと考えても仕方がないな。だって両手じゃあ数えきれないし、頭ですら覚えていられないし。
試しに今のところからいちにいさん…と数えてみる。
きゅうじゅう、じゅういち、じゅうに
12まで数えて面倒臭くなったのでやめた。
いつもこうだ。最後まで成し遂げられない、バカなおっさん。取り柄が無さすぎる。
そんな自己嫌悪に陥っていたら、壁にぶつかった。
はじめての変化だった。よく見るとドアがあって、半開きになっていた。
光が差し込んでいた。
私は、やっとついたのだ!とわくわくした気持ちで開けた。
そこにはスタッフらしき人がいた。
眠そうな目を擦りながら口を開いた。
おつかれさまです。ここは第一地点です。
スタッフが開けた扉には、先ほどと同じような暗い階段が永遠と続いていた。
11/5/2022, 2:56:08 PM