いい夜を

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『拝啓、空色の貴女へ


私の気持ちを伝えるために、手紙を書いてみることにしました。

こういった手紙を書くのは、あまり慣れていませんし、正直言ってとても恥ずかしいです。

でも、どうしても貴女に伝えたい。

貴女はまさしく空のような人です。

貴女の髪は、優しく広がる夜空のように、
深い黒色。

貴女がよく着る、夕焼け色の服だって、
浅黒い肌にとても似合う。

貴女の目は、夜空に浮かぶ月のよう。
見ていると、なんだか安心する。

そして、貴女の笑顔はまさに太陽。

卑屈で、臆病者の私の心は、
何度も貴女に照らされてきました。

それはもう、目を開けられないほどに。

私の心の雲は、
いつだって貴女が晴らしてくれました。

勝手なのは分かっていますが、
これからもどうか、私の太陽となってくれないでしょうか。

そして、貴女の心に雨が降った時、
私に傘を任せてもらえないでしょうか。

私は太陽にはなれないかもしれません。

それでも、貴女のそばにいたいのです。

私は貴女のことが、誰よりもずっと……』








「おい、何勝手に読んでるんだ」


「きゃあ! びっくりした」


「びっくりしたのはこっちだよ。勝手に僕の部屋に入ってるんだもん」


「えへへ、机に置いてあったこれが気になって。ロイリーニョが紙をクシャクシャにするなんて珍しいじゃない?」


「はあ、だからって勝手に見るなよ。ほら、それはゴミだろ? 早くよこしなよ」


「えー! いやよ、こんなに素敵なラブレター、捨てるのなんて勿体無い!」


「本当にやめてくれモレーナ、それは僕にとっては黒歴史なんだってば!」


「何が恥ずかしいのよ? こんなに素敵な文なのに!」


「お願いだからやめてくれ! ほら、早くこっちによこしなさい!」


「あ! ちょっと! 
もう、相変わらずシャイなんだから」


「ふん、悪かったね。僕は君みたいな性格じゃないからね」


「本当に可愛くないわね」


「それで結構」


「ねえ」


「なに?」


「あの手紙の最後、なんて書いてあったの?」


「は?」


「だって、消しゴムの跡があったもの。バレバレよ」


「……モレーナ」


「……なーに? かしこまっちゃって」


「僕は……僕はね」


「うん」


「誰よりも、ずっと君のことを……」


「……」


「……だめだっ! やっぱり言えないっ!」


「ええー! なにそれ! 今のはいう流れでしょ!?」


「本当に無理だ! ごめん!」


「ほんっとにシャイボーイね!」


「悪かったよ……」


「まあ、いいんじゃない? 可愛いし」


「……やめてくれよ、情け無い……」


「じゃあ、一つ約束して」


「ん?」


「さっきの続き、いつか絶対聞かせてね」


「……うん、約束するよ」


「今度は逃げないでね、待ってるから」


「大丈夫、絶対伝えるから」

4/9/2026, 1:46:40 PM