【#23. 木漏れ日の跡】
肌寒くも冬の太陽が暖かく感じる、お昼過ぎ。
私はただ満腹なお腹を押さえながら中庭のベンチで横になっていた。
教室で食べる弁当もたしかに美味しいがたまには外で静かに食べるのもいいなぁとか、今日のお弁当のおかずのトマトがどうしても口に入れたくなかったなぁとか、
ただ目を瞑って天から降ってくる暖かさとヒイラギモクセイの木がカサカサと揺れ、香りと黒を感じていた。
ふと耳をすませると聞こえてくる女子の笑い声、男子のギャンブルに負けた勝ったの歓声、色んな音が混じってどんどん暖かい光に連れていかれそうになりながら、なんとか意識を保つ。
このまま寝てしまったら遠くの方で貴方とその友達、私の友達の皆で楽しく談笑しているが、絶対置いていかれる。そんな気がした。でもやはり昨日夜ふかしするのが良くなかったのか。意識はどんどん光と黒が交互になっていき、連れていかれそうになった。
でも、目を瞑っていても分かるくらい眩しかった光が1面黒になった。異変を感じ、目を開けると貴方が私を呼びに来てくれた。私は体を起こすと貴方はとなりに座ってなにも喋らずただぼーっとしていた。私は貴方とするその「ぼーっと」が好き。この時間がずっと続けばいいのにとか考えていたら、休み時間終わりのチャイムがなった。
「そろそろ教室戻ろっか。」
そう貴方は私に手を差し伸べた。
私はその手をとりながら心の中で思った。
貴方は私の思いに手をとってくれるのかなって。
木漏れ日と黒と2つの影を見て私はそう何度も考えたことをもう一度考えてしまったのであった。
11/15/2025, 2:37:58 PM