水白

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あぁ退屈や。

直哉は暇を持て余していた。
否、暇な訳ではない。それでも、分家のアイツも傘下の家のアイツの相手もつまらない。
怯えた目で頭の回らない会話も、上辺だけ媚びた脳足らずな存在も、直哉にはただただ退屈でしかなかった。
最新のゲームや憂さ晴らしの暴力は、最初は楽しいが、それもすぐに飽きてつまらなくなる。

しかし今日からは違う。

「こんにちは、なおやくん」
鈴を鳴らすような声が呼ぶ。
あれは、昨日自分が捕まえた小鳥だ。

さて、今日は何をして遊ぼうか。
遊び飽きたシンプルなボードゲームを教えてやるか、まずは昨日のように縁側に座って言葉を交わすところから始めるか。
普段なら絶対つまらないことでも、想像しただけで胸の中が躍るのはなぜだろう。
わからないが、こんな珍しい玩具は初めてだ。
大事に、大事に、すぐに鳥籠へ戻せる距離で遊んでやろう。
直哉は小鳥の腕を掴んで、己の鳥籠へ招き入れた。



【つまらないことでも】

8/4/2024, 2:25:15 PM