sunao

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「こちらが友情の実になります。」

僕は最近ふと見つけた "おかしな駄菓子屋" に来ていた。
駄菓子屋だとかいいながら完全に大人仕様。
店のふつうあるべき場所にはお菓子なんて一つも飾られていない。
小さな空間の奥に横長のカウンターがあって、その手前には椅子が一脚、カウンターの上、両サイドには某お菓子メーカーの◯◯の実のようなものが並んでいる。それだけ。

僕がこの店に入ってきょろきょろしていると、
カウンターの向こうから、眼鏡をかけ、耳の尖った青白く、吸血鬼か悪魔のような顔の男が声をかけた。
「何をお探しで?」

だから僕はなんとなく入ったことから、そのうちに世間話みたいに友達がいないなんてことまで話していた。
そして出されたのがこれである。

見た目はやっぱり◯◯の実。
容器を振るとジャラジャラと音がする。

「これをあなたから友達になりたい方に直に一粒渡して飲ませれば、仲のよい友達のように扱われるようになります。
効果は3日間です。
相性が悪いとよくないですからね。それくらいがいいでしょう。
関係を続けたければまた一粒飲ませればいいのです。」

「すごいですね………。」
ちょっと信じられないような思いで話を聞いていた。

「他にも愛情の実や、暑っ苦しい友情の心の友実、体が膨らんで浮き上がる風船の実なんかもございます。」

「へー………。
 ………ところで、僕はどうやってこれを相手に飲ませるんでしょう。
 それができる時点で、なんか…そこそこの距離感ですよね………。」

「………………。」

どうやら僕はこんなすごいものがあってもぼっち確定みたいです。



「友情」

7/24/2024, 2:19:15 PM