ウツロ

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青の底を望んだ君は黒の中へ消えて、暫くしないうちに、なんでもない顔を覗かせた。雲の隙間、目が合った。刹那、まるで宇宙空間に投げ出されたかの様な窒息感が一気に失せた。
走り疲れた。どれだけ離れようとも着いて来る君と並んで歩くことにした。君は相変わらず遠い空の彼方でにこにことこちらへ笑い掛け、自分もまた、目を伏せ笑う。こちらは君が満ち欠けることを知っている。
薬指の輪を翳し見た。君も同じように翳してみせる。
どんな気持ちで見ているのだろうか。君も、自分も。
ほんの二文字しかない君の名を呼ぶ。呼ぶ。幾度なく。
返事が来るのはあと何度なのだろうか。
君がまた溺れていくのは、いつなのだろうか。
この輪を見上げ続けるのは、どちらなのだろうか。

9/14/2025, 5:23:02 PM