気づいたら一人で部屋の中にいた。
目の前の大きな扉をじっと見つめていた。
扉には鍵は掛かっていない。
閂も付いていないから、自由に開け締めできることはわかっていた。
外には光あふれる世界が広がっている。
外に出るだけで、みんなと共に居られる。
だけど、僕には扉が開けられない。
扉を開けると僕の中の制御できない"何か"が外に出てしまう。
それが誰かを傷つける。
そのことが震えるほどに恐ろしい。
だから、僕は扉を見つめたまま立ち尽くす。
外に出たいという望みと。
扉を開ける恐怖に。
いっそ、外から誰かが扉を開けてくれたら…と願いながら。
#狭い部屋
6/4/2024, 11:27:26 PM