陽 菜 美

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「雫」

雫がポタポタと君の手に落ちる。

「泣いたらダメ」だと思えば思うほど涙がボロボロでてくる。

そんな僕を君は優しく抱きしめてくれた。

嗚呼、これだ。
僕が求めていたものは、人の暖かさなんだ。

冷え切っていた心にそっと火を灯してくれた。

虐待されて心を閉ざし凍っていた心を君が開けてくれた。温めてくれた。

こんなの初めてだ。人に抱きしめられるという事がどれほど温かく、尊いものなのかが分かった気がした。

そこでまた僕は15年間溜めていた雫で君の肩を濡らした、

幸せが僕にあってもいいと言われ顔をぐちゃぐちゃにし、赤ん坊のように泣きじゃくった。

そんな20年前を思い出しながら家事をしている君をそっと見た。

そしたら昔みたいに雫が頬を伝った




4/21/2024, 1:06:29 PM