本物のたこ焼きを焼き始めている最中に『ピンポーン』と家の呼び鈴が鳴り、聞こえはしないだろうに「はーいっ」と、君が声を上げながら小走りでリビングから出ていった。
私は友人と二人で、たこ焼きプレート一面に広がるたこ焼きの生地の上にネギやキャベツを散らして、恐らく穴が有るだろう位置にぶつ切りにしたタコを一つずつ落としていく。
「けっこう責任重大だな、この作業」
「たこ焼きなのにタコが入ってないヤツが出来ちゃうかもね〜」
「やっぱりタコ以外も何か入れてみる?」
「チョコとか「ダメー」もうっ、冗談通じないなぁ」
ふふふっ、と友人と笑い合いながら、ビール片手にウインナーたこ焼きをつまんでいると、リビングのドアがバーンッと開いた。
「これで全員揃ったよ!」
「遅れて申し訳ない」
仕事が終わってそのまま着たようで、仕立ての良いスーツの肩先や裾が少し濡れていた。
「しょうがないよ、仕事だったんでしょ?雨も降ってるし」
「みんな揃ったことだし、もう一回乾杯しようか」
遅れてきた友人にグラスを渡してビールを注ぐと、自分のグラスにも注ぎ足す。
四人全員、飲み物を持ったのを確認してから『かんぱーい』と声を揃え、カツンっとグラスを合わせた。
テーマ「大切なもの」
4/3/2024, 4:23:28 AM