夢幻劇

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勿忘草。春に咲く、青くて小さくて可憐な花。
「私を忘れないで」「真実の愛」「真実の友情」
これらの言葉を全身で訴えてくるその姿に、愛らしさを覚えるのはもはや必然のことであろう。

「私を忘れないで」
そう遠くない未来で訪れるお別れ。新しい生活、新しい環境にどんどん適応していくなかでも、どうか私を忘れないでいて欲しい。それでもと言うのならば、別れが来るまでせめて、いつでも私を頭の隅に入れて置いて欲しい。あなたの中の“私”を大きなものでいさせて欲しいと願うのは、我儘なのだろうか。

「真実の愛」
これが“愛”なのかなんてわからない。ただあなたのふとした行動全てが好きで、あらゆる物事からあなたを関連付けて思い馳せる私のこの気持ちは、果たして“愛”なのだろうか?そもそも“愛”って?なんて言う私だけれど、あなたに向ける好意に嘘偽りはないから。

「真実の友情」
これが友情だと言うのなら、私はこの世の全てを信じられなくなるだろう。そのくらい私はあなたを好きだという自信がある。でもあなたは違うかもしれない。だからあなたが私に願うものこそ“友情”であった時には、そっとあなたの前から消える覚悟をしている。そんな私です。

そんな気持ちを込めて、押し潰して、栞にした勿忘草。
差し出す指先も呼び止めた声も震えているのがわかるし、顔だってほんのりアツい。

「受け取ってくれる?」___私の気持ち。


【勿忘草(わすれなぐさ)】

2/2/2026, 2:00:19 PM