「ねえ、君はいつか、僕にこう言ったろ?」
美しい世界で生きたいの
ってさ。
「ああ、確かに言ったし、今も私、そう思ってるわ!
それがあなた、どうかしたの?」
君が僕を不思議そうにじっと見つめる。
「ああいや、ただ気になっただけなんだ。
君の考える美しい世界って、どういうものなんだい?」
ええ、そうね…。君は目をつむり顎に手を当て、考えるようなそぶりを見せたと思えば、
ソファーからぱっと立ち上がると手を広げ
「そうね!例えば、空と海が青くて、花がたくさん咲いていて、時に雪が降って、
こぎつねや野うさぎが元気に走り回っていて、…そして、
君は僕に飛びつき、強くぎゅっと抱きしめ
そして!こんな風に窓に映る夕暮れを眺めながら、あなたと笑い合える そんな世界だったら私、とっても素敵だって思うわ!」
「それじゃあ、今と変わらないじゃないか…!ああ、許しておくれ 僕の愛しい人!
そんなことを言われたから、僕は君をもう離せなくなっちまったよ!」
背中に腕を回し、僕もぎゅうっと強く抱きしめ、2人でくるくると回る
そして、2人で目を合わせくすくすと笑い合う。
「ねえ、あなた。きっとこういうのを幸せって言うのね。...少し耳を貸してちょうだいな」
私、空と海は赤色でも、世界中の花が全部枯れたとしても、空から降るものが雨だけになったとしても、あなたがいる限り、きっと この世界で生き続けるわ。
11/22/2023, 5:58:24 PM