じゃら、カコン、ころん。そんな音にガッカリしながら景品取り出し口に手を入れた。カラフルなアクリルアイスにゲームセンターの照明が反射する。
「こんな物取れてもなぁ…」
これに心踊らなくなったのは一体いつからだろうか──小さな頃はガラスや宝石の山を見ているようで、親に怒られつつも泣いてまで欲しがった物だったのに。大人になった今ではお菓子やぬいぐるみを取ろうとすると勝手に手に入ってしまう『無駄なもの』になってしまった。
秘密のたからもの入れに大切に仕舞って、時々取り出してはうっとりと見つめて。少しの傷も許せなくて一番柔らかなハンカチで丁寧に磨いていた頃の自分は、もうどこにもいない。
「みてみて、おかあさん!いっぱいとれた!これもたからものにしてもいい?」
そう言って大切にアクリルアイスを握り締めている隣の子供が、今の私には毒でしかなかった。
11/20/2022, 2:58:26 PM