29年前の1月17日午前5時46分夜明け前、気付いた時には自宅は倒壊していた。
木造二階建ての2階で寝ていた筈の俺は、気付いた時には瓦礫の山の上、梁と柱の隙間にできた空間にいて奇跡的に助かった。
1階の和室で寝ていた両親の姿も声も聞こえない。
周りを見渡す。暗闇の中、大変な事が起こった事は瞬時に分かった。
周りから、怒号やざわめき、火事、噴煙が立ち込み始めた。…両親は助からない。
20代後半になっても定職につかず、ただただ好きな事をして生き、ギャンブルで借金も作っているのに見栄だけは張って、服装にもお金をかけていた。
闇金にも手を出していた俺に、迷いは無い。
頭から血を流している事にも気付かないまま、朝日が昇る前に火事で燃える街の中を走り出した。
サイレンや怒号、火事に巻かれる家や倒壊する家屋を背中に、ひたすらに、暗闇を目指した。
この災害による被害は、負傷者43,792名、死者6,434名。
行方不明者3名。
(消防庁調べ、平成17年12月22日現在)
題:神様だけが知っている
7/4/2024, 4:24:35 PM