【8月31日 午後五時】
俺は組んでいた足を下ろし、時計を眺めた。
グラスの氷がカラン、と音を立てた。
夏の終わりを認めたくない蝉たちが、やかましく外でパーティーを繰り広げている。
全く、いい気なもんだぜ。
俺に残された時間は少ない。
だが課された仕事はこなさなきゃならねぇ。
どこかで見たような修羅場を何度も超えてきて、今の俺がある。
なあに、こんなもの、修羅場のうちにも入らねぇ。
──さあ。勝負はこれからだ。
俺は鉛筆をにぎり、「夏休みドリル/さんすう」の1ページ目をめくった。
8/31/2025, 10:50:37 AM