ミヤ

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"秋風🍂"

秋風凛冽な朝。
郵便受けに届いた招待状に、もうそんな時期だったかと季節の巡りの早さを思う。
劇場のチケットと、数語だけの簡潔な手紙。
同封されたパンフレットに記された見知った名前を指先でそっとなぞった。


長年の夢を叶えたその果てで、きみが見た景色はどんなものだったのだろう。
かつて一人ぼっちで屋上フェンスの向こう側に立っていたきみは、今や沢山の仲間に囲まれて舞台の上に。
それでもその瞳には恐ろしいほどの飢えがへばりついて消えないままだ。

"先輩には分からないでしょうね"と泣いていたきみが、なぜ毎年招待状を送りつけてくるのか。
その理由は、ずっと分からないままにしておきたい。

10/23/2025, 5:45:46 AM