諦めることに、随分と慣れてしまっていた。
もう、どうでもいい。
長い間、そう思っていたはずなのに。
君が視界に映った途端、再び世界が色付いた。
駆け出す足も止められない。
ああ、そうか。
やはりずっと、私は君を待っていたのか。
「おかえり」
そう呟き抱き締めた温もりに、涙が零れる。
ああ、懐かしい。
独りでも平気なんて真っ赤な嘘。
君が居ないと駄目みたい。
強がる私は今日でおしまい。
だからもう、どこにも行かないで。ね?
(2025/06/22 title:079 どこにも行かないで)
6/23/2025, 7:15:20 AM