"空に溶ける"
貴女が空に溶ける、その日までは
どうか笑って過ごせますようにと。
ずっと、そう願っていた。
選択肢は目の前に提示されていた。
たったひとつを捨て去れば楽になれると、早く解放してあげた方が貴女のためだと分かっていた。
でも、どうしても、それだけは出来なくて。
苦しくて喉を押さえる。
口から零れる音は言葉にならず、虚しく中空に溶けて消えていった。
みっともなくボロボロ涙を溢す僕に、病室のベッドの上で目を閉じた貴女は何も言ってくれない。
温かいままの手を握りしめて、ただ泣き続けた。
5/20/2025, 4:25:20 PM