先輩にはなぜなぜ期がある。と、言うとやや語弊があるし、そんなに簡単なものでもない。要は先輩は、僕の考え方を知りたいのだ。
天国はある? じゃあ地獄は? 虹の端っこには何がある? 神様はいると思う?
休む間もなく飛んでくる矢のような質問に、僕はひとつひとつ丁寧に答えていく。あったらいいなと思いますよ。天国があるならあるんじゃないですか。行ったことないのでわかりません。……神様は、そうですね、います。
不自然に言葉に詰まる僕を気にせず、先輩は重ねて問いかける。
「君は、どうして私と一緒にいるの?」
今度こそ僕は黙り込む。それをどう思ったのか、先輩は「どうして?」と純粋な眼で聞いてくる。その眼を僕は恨みがましく見つめ返す。そんなの、あなたが僕を救ったからでしょう、とはとても言えない。
傲慢にも軽々しく、何でもないことのように僕を救った神様は、それがどれだけ特別なことかこれっぽっちも理解していない。僕だけが宝物のように大事に抱えている。それがなんだか悔しくて、だけど、だからこそ先輩は僕にとっての神様なのだと思う。
「先輩こそ、どうして僕と一緒にいるんですか」
同じ問いを返してやれば、先輩は小首を傾げて「確かに。どうしてだろうね」と言った。「それと同じですよ。おんなじ」と僕は返す。納得した様子で先輩は笑った。同じなものか。でも、それは僕だけが知っていればいいのだ。
1/15/2026, 12:10:09 AM