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一つだけ(テーマ一つだけ)


 ただ一つだけの答えを見つける。

 『1+1』の答えは2だ。

 答えは一つ。



 では『私たちが幸せに満足して生きていくにはどうしたらいいか』の答えは?

 それに答えはあるのか?

 一つだけでも答えはあるのか?

 たくさんあるかもしれないし、一つもないのかもしれない。


 ただ、一度に選べるのは一つだけ。

 そうして選んでいった跡が、『結果』として道になっていく。



 それが正解だったのかどうかは、よく分からない。

 ただ、『幸せだったか』『満足したか』だけで考えるなら、正解ではなかった気がする。

 私は『我慢』してしまったから。

 人並みの何かにすがり、『失敗』しないように、やりたいことを『後回し』にして。

 我慢は年を経るごとに増えていった。

 それでも振り返ると道はあった。

 いびつな道だ。


 もっと真っ直ぐ、やりたいことをやって生きたかった。

 ただ、そうしたら今の私はなかったのかもしれない。

 途中で野垂れ死にしていたかもしれないし、もっと惨めに生きていたのかもしれない。


 ただ、やりたいことをやらずにひたすら『我慢』してきた私の人生も、十分に惨めである気がする。

 ただ仕事を失わないために昼も夜もなく、平日も休みもなく働くだけの日々。

 妻も子も得ることなく、ただ生きているだけの日々。

 だったら、同じ惨めなら、やりたいことをやった方が幸せだったのかもしれない。満足だったのかもしれない。

 もちろん、そんなの勘違いで、『そっち』の私も、後悔している可能性は高い。

 でも。



 友のやることを真似たら?
 別の人間だから同じ答えは出ない。

 親のやることを真似たら?
 似ていてもやはり別の人間だし、そもそも時代が違うから同じ答えは出ない。


 ただ参考にすることはできる。


 結局、自分の人生は一つだけ。


 何かを得られなくても、自分の人生だ。

 悲しくて泣き続けても、自分の人生だ。

 我慢するだけで何も得られず、ただ生きているだけの状態でも、自分の人生だ。

 とはいえ、その人生から、顔だけは背けずにいたい。

 顔を背けてしまったら、まるで他人事のように自分の人生を眺めるばかりになってしまったら、そこには『満足』も『幸せ』もなく、それは『不正解』だと思うから。

 意地で、歯を食いしばって、見るのだ。

 目を背けずに。


 そうでないと、そもそも正解をつかんだのかどうかすら、わからないから。

4/3/2024, 10:13:55 PM