しろ

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新月の日の夜

「ねぇ!あの星光ってて綺麗!あの星はなんて言うの?」

「あの星はおとめ座のスピカだよー。」

「へぇーあれがスピカなんだ!じゃあその上のほうにある星は何?」

「あれは牛飼座のアークトゥルス。スピカとその星を曲線で結んで延ばした先にあるのが北斗七星。この曲線を春の大曲線って言うんだ。」

「へぇー!!すごい!なんで知ってるのぉ!!」

彼女は目を輝かせていた。

「僕、星を見ているとちょっと立ち止まることができるんだ。」

「ちょっと立ち止まる?」

「今流れてくれる時間は止まってくれない。でも僕が星空を見上げている間は星たちがそこに止まって待ってくれている。その時間は僕にとって自分自身と向き合える大切な時間になってるんだ。だからその星たちの名前を知りたいって思ったんだ。」

「すごいねぇ、私そんなふうに考えたことなかった!星は大切な存在なんだね。」

「うん、ただの光る点の集まりなんだけどね。」

そういうと僕も彼女もニコッと笑った。

星は不思議な存在だ。
明るいもの
暗いもの
突然流れてくるもの
色が違うもの
集団のもの
色んな星がある
彼女にも色んな星のこと知ってもらいたい

雲一つない夜空は春の始まりを告げている気がした

「星」



3/12/2025, 12:51:59 AM