囚人

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 おかしな話だと思うかもしれないが、私は彼が好きなのだ。彼というのは、人ではなくて、日常に交じっている生物、カラスだ。
 カラスはこの世の生物の中で、特に魅惑的な生き物だ。神話にも登場したカラスは、今やどこにでもいる。その揺れる黒の羽根一つ一つは、私の目には星のように輝かしく映っている。煌めいているその丸い瞳には、全てを見つめているかのように都会の景色が映っている。田舎のカラスには、きっと緑が映っているのだろう。美しい外見とは違い、声はしゃがれている。そこがまた美しく、心地良いのだ。
 魅力はそこだけではない。羽根一つ一つ、繊細な作りになっているのだ。大きさも形も全て違って、どれも芸術品のように美しい。
 それから私は彼らの羽根を収集しているのだが、その様子をカラスたちに見られてしまうと、しばらく姿を表さなくなってしまう。これはきっと、一種の会話なのだろうと思う。空を見上げれば黒い彼らが今日も存在している。その現実が、私にとって日々の幸福である。

10/26/2025, 8:46:53 AM