Open App

           茜の遺書 


想へ

本当に好きです。
あなたのことが、心の底から好きでした。
どれだけ言葉を重ねても足りないほど、私はあなたに出会えたこと──
あなたが息をして、ここに存在していること──
そのすべてが、私の生きがいでした。
あなたの顔が好きでした。
切れ長の瞳も、薄い唇も、まっすぐに通った鼻筋も。
消えてしまいそうなほど透明な肌も、光を吸うような髪の色も。
いつも隣にいるのに、どこか遠いところにいるような、
そんな空気をまとったあなたが、たまらなく好きでした。
初めて会ったとき、
“美しい”という言葉がこれほど似合う人がいるのかと驚きました。
けれど、その言葉が正しいのかも今では分かりません。
私は、私自身が嫌いです。
私の外見は、あなたと比べるまでもなく醜い。
あなたの隣に立つたび、自分のすべてが嫌になるのです。
だから、本当はあなたのそばにいたくなかった。
それでもあなたは私の手を握って、「好きだ」と言ってくれました。
どうしてですか?
こんな外見の私を、あなたはなぜ選んだのですか?
その理由を、あなたは最後まで教えてくれませんでしたね。
それだけが、心残りです。
私がこの世界から去る理由を、あなたはきっと分かっていると思います。
味方が誰もいなかったこと。
あなたはもしかしたら味方でいてくれたのかもしれないけれど、
私はそう受け取れませんでした。
だって、あなたは美しい。
私は美しくない。
それだけで、私にとってあなたは味方ではなかったのです。
ひとつだけ、正直に言います。
私は、美しいあなたが嫌いでした。
でも、美しいだけのあなたじゃない部分──
汚い現実を見てきたような、あの目だけは、私と同じでした。
同じ境界線の向こう側を知っている人だと、
そう思えたから、
私はあなたを好きになったのです。
                      美しい

1/16/2026, 1:41:33 PM