しるべにねがうは

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くらがりのなかで

「……電気つかねぇ」

繰り返しスイッチを押すものの電灯は暗いまま。
電球切れた?電球ってか蛍光灯。
接触が悪いのか。なんでもいいけど絶望感。

真っ暗闇の中、一人。

なんでこういう新月の日に限って夜中目が覚めるんだろう。
なんでそういう時ってめちゃくちゃトイレ行きたくなるんだろう。

ここで漏らしたら一生の恥だよな。
別にお嬢とか笹本さんに知られる前に片付けりゃいいしあの二人は俺が漏らしたところで「そんな時もありますよ」くらいで流してくれると思うけど。
どちらかといえば石蕗さんの方が「大丈夫ですか、ここに住んでる間はあなたの体質や諸々の面倒も世話もしますけどそのうち出ていくんですよ今からそんなんでどうするんですか」って顔すると思う。やけに具体的すぎる?こないだ言われたもん一字一句違わず。
でも怖いもんは怖い。

何が怖いのか。オバケ。
言葉が通じない、話が通じない、国家権力も通じない。
理屈も心も通じない。この世の異物。
そういうところだ。

電灯がつかないなら仕方ないので少しでも明るい通路を選んでいく。こっちからだと中庭をぐるっと回るルート。
井戸もあって空気がひんやりしている。夏は気持ちいいんだろう。な〜デッカい西瓜を井戸水で冷やしてさ。
風鈴つけてさ。縁側で食う。最高じゃん。塩かける。

後日加筆します

10/28/2024, 12:55:38 PM