たまちゃん

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ここではないどこか

寝落ちしがちな最近、変な時間に目を覚ますことが多い。
真っ暗な窓の外にふっと目をやる。
ちょっとぼうっとしているだけで、つい物思いに耽ってしまう。
仲間たちの笑い声。
頬の赤い彼女の顔。
家族の温もり。
俺はなんて恵まれた世界を生きているんだろう。
しかし、やはりこの時間帯は、感傷的になりやすくて困る。
それに対する感謝の傍ら、底なしに悲しい気持ちも込み上げてくるからだ。
どこかの本に、人生は手放しの連続だと書かれていた。
歳をとり、特定のフェーズに入れば最後、それまで得てきたものをどんどん失っていく辛い旅路が待ち受けているのだと。
俺の愛したすべてのものが、これからは失われていく。
いっぱいいっぱいに満たされ、膨らみ上がった心は、穴を開けられた風船のように、徐々に貧相なものに成り果てていく。
だから俺は、「それは嫌だ、そんなはずがない」と首を横に振って見せる。
藁にもすがる思いで、切に願い、信じて疑わない。
ここではないどこかに、永遠の幸せがあることを。
ここではないどこかに、永劫の情愛があることを。

6/28/2024, 4:52:13 AM