菜な子

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私はいつも
恐れている。
もし、彼が
私に出会わなかったなら、
彼は幸せだったかと。
不幸にならなかったのかもなど。
彼を悲しませることは
何一つない、
美しく、
優しい人がいるのに、と。

そんなこと考えた夜は、
月の光が刺すように痛い。
私の恐れに賛同しているのか
そんな事言うんじゃないと怒っているのか。
どちらなのかなど知る由もない。


彼の寝顔がまた、私の胸を締め付ける。
こんなにも優しい。
こんなにも美しい。
そんな人。
私には到底釣り合わない人。

彼はこんなにも美しい。
こんなにも穏やかな月光に照らされて。

あぁ、月の光がびりびりと痛い。
こんなにも痛い激しい月の矢に刺されて。

落とした涙の歪な丸
彼が美しい月ならば
私は醜い涙の跡。

早く乾いて消えたいわ。
優しい光に照らされて。



「怖がり」

3/16/2024, 3:47:31 PM