どこかにいるかもしれない高校生

Open App

「子供のように」

私は演劇によく関わるのだが、その中でしょっちゅう言われるのは、「子供のような心を持った人が役者には多い」ということだ。
というのも、人前で一丁前に自分じゃない人間を演じる――時には人間以外も――なんてことは“恥”を身に着けた人間には到底できない所業だからだ。
もちろん世の中の役者さん全てに恥がない子供だと言っているわけではないのでそこだけはおさえていただきたい。

しかし、特に舞台では、大きな声と動きを要求される。
なんなら時々歌と踊りも要求される。
街なかでいきなり踊りだしたり歌い出したりなんかしたら「なんだあいつ」と怪訝な目で見られ、狂ったやつ認定されるのがオチだ。
しかしミュージカルなどではそんな違和感を一切感じさせない。
…人によるかもしれないが。
ディズニー映画などを考えてみてほしい。
あんなに独り言が多くてすぐ歌って踊る奴がいたら現実世界じゃやっていけないだろう。

私も役者の端くれであり、将来は演劇で食べていけたらいいなあなんて思っている人間だから、今までいろいろな役を演じさせていただいてきた。
時には外国人、時にはヤギ、時には概念…(概念?と思う方もいらっしゃるだろうが詳しく説明すると個人が特定されかねないため概念とさせていただく)。
なんなら自分の本来の性別の役を演じたことはまともに演劇を始めてから一度もない。

何にでもなれるのが演劇のいいところだ。
子供の頃、叶いっこない夢を誰しもみたことがあるだろうが、それをすべて実現できるのが演劇だ。
お姫さまだって王子さまだって、スーパーヒーローだってなれる。
現実じゃ起こり得ないキラキラした恋愛もできる。

そんな夢を持てる人間だからこそ“子供のよう”と言われるのかもしれない。
これからも“子供のように”全力で人生楽しんでいきたいものだ。

10/13/2024, 12:42:19 PM