……もう、終わりにしよう。
それが彼女の、最期の言葉だった。
人はいつか死ぬものだ。それはいつでも覆されることの
ない運命である。
…………彼女が死んだのは、これで5度目だ。どういうことか?まぁわかるわけはない。
こんなこと普通ではないし、ありえない。ファンタジーの世界に飛び込んだような、そんな感覚だった。
僕が彼女に未練があると、戻ってきて欲しいと願い、彼女の元へ行くため死のうと考えると、彼女は戻ってきてくれた。
もちろん、そこから幸せに生き延びるだなんてことがあるはずもなく、戻ってきた1週間以内にはもう1度死を遂げる。
何度も、何度も……助けようとした。助けるための策を考えた。でも……ありえないことゆえ、人からの意見をもらうことなど到底できず、ただただ何度も死ぬ彼女を苦しく見ていることしか出来なかった。
そんな時、4度目の死を終え、つまり、つい先程。戻ってきた彼女が、静かに言った。
もう終わりにしよう、と。ただ一言。涙が止まらなかった。だって、その言葉を聞けば最期、僕は彼女に辛い思いをさせてまで一緒にいるのだと、後悔するとわかっていたから。
……大丈夫、いつでもそばにいるよ。見守ってるよ。あなたが本当に大丈夫になるまで、ずっと隣にいるよ。
私はあなたといられて幸せだった。楽しかった。でも私が死んで、あなたが1人残された時、後を追うんじゃないかと心配だった。
…………だから……あなたが大丈夫になるまで、と思って戻り続けたわ。
でも……もう限界ね。
……いつかあなたが家庭をもって……愛する妻と子供ができて。孫ができて、ひ孫ができて?笑
…………それで、もうこれ以上の幸せはないって思ったら、私に会いに来て?お嫁さん紹介してよ。
待ってるよ。
ありがとう。またその時まで……さようなら。
7/15/2024, 12:50:26 PM