海喑

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前世の事だった。
それは綺麗で、まるで、花の形にカットされた宝石の中にでもいるような気がする、そんな花畑だった。
そんな花に照らされ陸明、私の愛人は笑っていた。器用な彼は花冠を作り、私の頭に乗せてくれた。
刹那、体に異変を感じた。体が固まるような気がした。死期が近いのか。
そうか、私はもう陸明とは会えないんだ。そう悟った。だから私は不器用ながら、花のブレスレットを作り
「じゃあね。」と言ってその場から去る。そしてその後私はー

それから何年、何十年経っただろうか。私はもう一度、姿は変わったけれど、シチュエーションは全く違うけど
貴方と会えた。
貴方と会った最後の日。それは
今をも引き寄せるナニカだったのかもしれない。

6/26/2023, 12:51:14 PM