海月 時

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「バイバイ。」
別れの決まり文句を言う彼女。僕は君に手を振る。

「物騒だね〜。」
彼女がネットニュースを見ながら言う。最近、通り魔殺人が多発しているそうだ。
「怖いね。今日も一緒に帰ろっか。」
彼女を守るために、僕は今日も彼女の家まで送る。僕と彼女は、ただの幼馴染だ。そして僕は、彼女に片思い中である。この思いが日々大きくなるのが分かる。でも、言わない。彼女との関係を壊したくないからだ。臆病な自分にため息が出る。
「今日もありがとうね。」
彼女の家についた。僕の君だけの、時間は瞬く間に終わりを迎えた。もう少し居たい。そんな事を思いながら、僕は自宅に向かった。

数日が経った日。僕は彼女に告白しようと思う。関係が壊れるのは怖い。それでも、前には進めるはずだ。
「ずっと前から好きだ。」
彼女の目が潤んだ。そして、笑顔で言った。
「私も好き!」
喜びの余り、僕達は泣いていた。今日から彼氏彼女だ。僕達は、何時間も両片思い期間の話をした。そして、笑った。これからの話もした。どこに行きたいか、何をしたいか、たくさん話した。いつの間にか、辺りは真っ暗だ。

「「バイバイ」」
二人でそういった時、視界が揺れた。そして、地面には真っ赤な水溜りが出来ていた。僕は、倒れた。彼女の方からも倒れる音がする。本能で分かる。僕達は死ぬのだ。別れは突然来るんだな〜、なんて呑気な事を考える。僕は掠れた声で言う。
「一緒だよ。」
彼女と天国で会えるなら、死んでも良い。

5/19/2024, 4:35:25 PM