海月 時

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『ようこそ、生人図書館へ。何をお求めかい?』
「私の愛する彼の未来が知りたいの。」
『あぁ、あいつのか。いいぜ、死人みたいな姉ちゃん。』
「初対面の私に死人って失礼じゃない?」
『知るか。それで本題に入るよ。あいつは一生涯、誰とも添い遂げぬまま老いてゆく。』
「そう。」
『もっと喜べよ。恋人が誰にも取られないんだ。』
「喜べないわよ。彼が幸せになれない未来なんて。」
『それもそうだ。あいつはお前と結ばれる事を望んだんだからな。お前が死んでたら幸せなんてなれない。』
「やっぱり、知ってたのね。」
『あぁ。お前の事もあいつの事も、知っていたさ。』
「あいつの事って?」
『まだお前が生きていた頃、あいつはここを訪れた。そして、俺に聞いた。お前の未来を。』
「そんなの初めて知った。」
『だろうな。惚れた女の死を知ったら誰だって黙る。』
「じゃあ悪い事をしたわ。先に死んじゃうなんて。願いが叶うなら、彼との日々に戻りたい。」
『残念ながら、俺は神じゃなくて司書だ。願いは叶えられねー。でも、その本はやるよ。』
「いいの?」
『特別だ。未来はいつ変わるかわからない。それを持って、監視しとけ。浮気されたら復讐してやろうぜ。』
「いいわね、それ。」

『今一番欲しいものはなんだ?それに手は届くか?お前は欲しいものを手に入れるために、どこまで墜ちれる?』

7/21/2024, 2:45:26 PM