ことり

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雪解け

雪を踏みしめながらひたすらに歩く。白い髪の小さな体はふらつきながら白い息を吐いている。もう一週間もこの雪原を進み続けている。足がほつれて転んでしまう。寂しさと冷たさで涙が溢れる。それでも進まなければならない。どうしても会いたい人がいるのだ。その人はこの雪原の向こう、色とりどりの植物たちに囲まれた暖かい場所に住んでいる。柔らかい微笑みとふわふわした声を覚えている。あの人の優しさにもう一度触れたい。涙は溢れて止まらない。けれども、ここで立ち止まっている訳にもいかない。立ち上がり今度は走り出す。何度も躓きながら必死で目的地を目指す。すると、どこから賑やかな声が聞こえてくる。その中にあの人もいた。大きな声で名前を呼ぶ。くるりと振り返ったその顔は嬉しいと驚きの中間だった。慌ててこれらに向かって来て、私のことを抱き上げる。よく来たね、と優しく言うからさらに涙が出てしまう。頭を撫でる手と暖かさに包まれて冬のように冷たかった心は優しく溶けていくのだった。

12/8/2025, 11:59:37 AM