NoName

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前回のチョコの話のものです。

ピアスを開けた。両耳のみみたぶにひとつずつ。
絶対に着けたいのがあったけど、開けるのが怖くて先伸ばしにしてた。
でも、あの子が開けてるのを見てほんの少し怖さがやわらいだ。
スーパーとかでよく見る、お徳用チョコレートの袋に入ってるやつ。気になっていても、口に会わなかったらどうしようって買うの迷ってた。でも、あのときあのこが一粒くれて、それがあまりにも美味しくて。大げさなようだけど、本当に感じた。
でも、それよりもびっくりしたのはあの子が私のうしろをついて来ていたこと。
正直怖かった。かわいくて、髪も長くて、ゆらゆら揺れる髪とピアスが凄く素敵だったけど、どうしても怖い。
マンションまでつけられて、扉を開けた瞬間に無理やり入られたら?夜道で襲われたら?いくら華奢だと言っても、刃物を持っていたらどうにもできない。私は走った。ぺったんこな靴でよかったってつくづく思った。
マンションの入り口を通り、安全なところからうしろを確認してみると、彼女はもういなかった。怖かったけどあの子のことが気になった。はじめて見たときかわいい子だと思ったし、中身はおもしろい子だし。だから今度会ったときは言ってやるんだ。やめてほしいことと、来るなら正々堂々と正面から来なさいってこと。それから、あのチョコおいしかったよって。

2/12/2023, 10:25:07 AM