カミハテ

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ここではないどこか

気づくと、見知らぬ豪邸の門の前にいた。
「大きい、、、」
家の大きさに圧倒される。
とにかくでかい。
立派なのは家の大きさだけでなく、外観もみたいだ。
立派な煉瓦の外壁、真っ白で汚れ一つない壁、ぴかぴかに磨かれたたくさんの大きな窓、綺麗な紫色の屋根。
私は何も考えず庭に入った。
ふさっとした、草の柔らかい感覚が足に伝わる。
と、コツン、と足に何かが当たる間隔がした。
足元を見てみると、青紫の鉱石のようなものが地面に落ちている。
ぼわんと不思議な光を放っていた。
しかも、結構な大きさだ。
手のひらの半分くらいはあるだろうか。
思わず手に取った。
結構重い。
と、少し先にも同じような鉱石が落ちているのが見えた。
そこまで歩いてまた拾う。
と、また先にも。
またその先にも。
私は必死に鉱石を拾っては歩いて拾っては歩いてを繰り返す。
まるで私を家の裏へと誘導しているようだった。
だんだんと拾って歩くスピードが速くなっていく。
私は周りの景色なんて構わず鉱石を拾い続けた。
あっちにも。あ、あっちにもある!
どんどん拾っていくと、突然鉱石が見つからなくなった。
あたりを見渡すと、そこはもう豪邸の庭ではなく、
暗い洞窟の中だった。
不思議と恐怖心は0だった。
洞窟の奥には一体何があるのだろう。
それが気になり、純粋な興味で奥へと進む。
全然奥の方が見えない。
だんだん歩く速度が増してきて、ついに走り始めた。
暗闇の中をとにかく走る。走る。はしる。
だんだん息が切れて苦しくなってきた。
それでも走り続ける。
すると、暗闇の中に一筋の光が現れた。
きっと洞窟の先は外に繋がっているんだ。
光に向かって必死に走った。
徐々に光が大きくなっていき、外に近づいているのを感じる。
もう少し。
もう少し。
もう少しだ。
とにかく走り続ける。
と、いよいよ光が強まってくる。
そして、一気に視界が開けた。
さっきまで真っ暗闇の中にいたせいで目が眩む。
しばらく目を瞑ったままでいると、
徐々に目が慣れてくる。
ゆっくりと、目を開いてみた。
目に飛び込んできたのは、大きな海。
灯台のような場所に出たらしい。
見渡す限り海。海。海。
水平線までずっと海。
広い広い海。
どこまでも海。
太陽の光が反射して、海がきらきらと光っている。
「綺麗、、、。」
思わず、呟いた。
しばらくうっとりと景色を見つめる。
と、体に異変が起こった。
なんだか頭がぼおっとしてくる。
徐々に意識が薄れていった。


「んんんん、、、ん?」
目を開けると、そこは壮大な海ではなく、無機質な白い天井があった。
体はベッドの上。
だんだん意識がはっきりしてくる。
そうだ。私、昼寝してたんだった。
ってことは、さっきまでのは、、、夢?
あんなに綺麗な夢、初めて見た。
もう一度寝たら、続き見られるかな。
そう思ってもう一度寝ようとしてみたが、
寝ようと思えば思うほど目が冴えてくる。
「ああああああ!!!もっかいみたいのにぃぃいー」
全然寝られないため、しびれをきらしてベッドから起き上がる。
せめてこの夢をただの夢で終わらせたくない。
忘れるにはもったいなさすぎる。
そうして私は今、夢の記憶を鮮明に書き綴っている。










6/27/2024, 11:36:08 AM