ほんの一瞬、瞬きの間。意識が途切れる感覚がした。一面に広がる薄藤が、月明かりを受けて輝いている。心地よい花の香りは途切れることなく漂う。
辺りを見回すが人はおろか、生命の気配が全く見当たらない。咲き乱れる枝垂れ藤だけが息をしているのか。朧気に照らされる橋へと足を進めることにした。
「……誰かいる?」
長い橋の終わりが近付くにつれて、何かの気配が強くなる。どうやら花を愛でているみたいで、こちらに気付く素振りはない。
Title「秘密のお茶会」※作成途中
Theme「刹那」
4/29/2024, 9:59:41 AM