うわ、とすぐ後ろから悲鳴が上がった。岩じゃないのかだの今まで痛くなかったのかだの、その人は口々に騒ぎながら肩を揉み始める。唐突なうえに他人の肩に文句を言いすぎである。しかし意外と容赦ない指の力加減が、連勤を耐えた体になかなか心地良い。ややあって、お返し、と肩揉みを交代すればこの人も大概な岩具合。お互いそれなりの歳だから仕方がない。気持ち良いのか少しだけ舟を漕いだその人の、ずれた襟口からうなじが見える。何となく指先でツッとなぞったら、一際大きく悲鳴を上げて飛び上がられて怒られた。初めて見た反応だ。それなりに長く付き合っていると思うが、まだまだこういうことがある。色んな意味で、面白くてやめられない。
(題:生きる意味)
4/28/2024, 6:08:34 AM