月下の胡蝶

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お題《誇らしさ》



雪華(せっか)強くおなりなさい。守る者は誰より強くあらねばなりません、誰より美しく、綺麗な生き方をなさい。


――天に立つ者ならば。





食うに困らずの生活とはどんなものだろう。


空腹とは空白。



――生きるために。



なんでもいいからと、まだ熟してない青い実や草を口に入れ、ときには人様の畑から盗む。――どんなに不味くても食べるし、身体に良くないものでも食べる。




生きることに、意味はない。


ただ本能的に、死にたくはない。




そんな私を変えてくれたのは、今の姉様。



身寄りのない私を拾い、《雪華》という名前をくれた。



雪の降る日に出会ったから、と。




銀色の長い髪を結われた姉様が微笑む。季節の花々に囲まれた姉様は、世界にひとつだけの華。



「雪華の好きな紅茶を取り寄せてたのが今日届いたから、一緒に飲みましょう。それから紅茶によく合うお菓子も焼いたの」


「はい」





私は今日も姉様の言葉を胸に生きている。




8/16/2022, 11:13:39 AM