Fujino

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「Only one」を目指すことは「No. 1」になるよりも難しい。

朝井リョウさんの「死にがいを求めて生きているの」という小説を読んで、そんなことを思った。
この小説は主に平成生まれの登場人物たちが「自分らしさ」を求めて足掻く物語である。
ある人物はこの考えがいきすぎて、「自分探し」=「死にがいを探すこと」になってしまっている。そしてなければつくればいい、という考えにたどり着く。

あの頃あちこちで流れていた「世界に一つだけの花」は、私たちに「1番じゃなくていいんだよ」「みんな特別だよ」と言ってくれていたけれど、それだけではだめなのだ。
結局誰かと比べないと「自分らしさ」なんて分からない。他人の目を通さなければ自分を確立できない。
まるで呪いのようだ。

平成が終わり令和が始まっても、この呪いは続いている。
「ただ生きているだけでいい」とみんなで思えるようになる日がいつか来るだろうか。

「世界に一つだけ」

9/9/2024, 10:41:10 AM