雑穀白米雑炊療養

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白く、広さの測れない霧に満ちた空間。その内でも一番霧が薄いだろう所に深さの知れない水溜りが ある。その不自然に凪いだ水面に、淀みは乖離することもなく、ドロリと境目の取れないマーブル模 様を浮遊させる。淀み模様は濁った七色の油脂光沢を湛え、凪は麻薬のように遊離感を訴え る。これらは大概いつも変わらず時折蓮の葉と水草のようなものが浮く。己はその水溜り緑の、足場 がまだある場所が基本の立ち位置だ。
己の心は表面の凪と淀みに遮られ感が見えない。底を確かめようと手を突っ込めば、どれほど沈み込 むかもわからない、深く水底近くから伸び出る無数の形の定かでない泥のような叫びの腕が、己を水 溜の底へ引き摺り込もうとする。それ故になかなか見るというのが難しい。だが避けていると淀みが 増していく。腕を見ないよう、触れないように慎重に探れど、水中は一寸先も見えないような濁りに 覆われ良く見えない。探索の際は大概手探りに、溜まりの外郭伝いに潜る。
しかし時折一瞬だけ、極小の一部分のみ曇りが途切れる事がある。その一瞬だけは、深く潜らずと も、ともすれば水面からでも、底の一部を垣間見ることができる。見える水底は瓦礫が積み重なり、 どうやら真の底ではない。泥腕はその瓦礫の中から伸びている。水よりも瓦礫よりも下から浮かぶも の。泥腕を辿るか、開いてみてみれば心底を覗けるだろうか。だが泥腕は底へ底へと引き摺り込む、 あまりに急激すぎるのは自分はまだ息ができない。まずは泥腕の観察が先だろうか。暫くは様子見が 良いか。
今日はまだ潜っていない。模様は今のところ鈍曇りである。

4/24/2024, 8:49:48 AM