黒猫

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僕達は珍しいとされる一卵性での異性の双子。
顔立ちは瓜二つ、性格と能力は真逆。
幼少期から両親以外は見分けられる人は居らず、悪戯しては父上から怒られていた。
あの頃はいつも一緒で楽しかった。

それが叶わなくなったのは父上の急逝がきっかけだった。
僕は後継教育が始まり、妹と過ごせる時間は格段に減った。山積みの教科書に厳しい家庭教師。それらに囲まれ息が詰まりそうだった。
妹と今までと同じように過ごしたかった。
急逝した父上を恨んだ事もある。
それでも後継教育から逃れられず妹と会えない日々が続いた。

「ギルドに行くってどうして!?」

「私は父上の亡くなり方に裏があると思ってるの。それを調べたいからギルドに加入する。」

「そんなの騎士団に調査を依頼すればいいじゃないか!」

「……。その騎士団が1枚噛んでるとしたら?」

僕の反論に憮然とした態度で妹は告げた。
妹が言っている事がもし仮に事実なら父上は味方に裏切られて落命したことになる。
そう考えるだけで血の気が引いた。
単純な事実にさえ気づかなかった僕に妹は失望したようで何も言わず去っていった。

それが今から約10年前の出来事。
久しぶりに見かけた妹はまるで別人だった。生き生きとし明朗快活に笑う姿に距離を感じた。

今や家や立場に縛られ身動き一つ取れなくなった
僕をみたら君はなにを思うだろう。
君のように自由に生きられたらと
そう願うのは傲慢だろうか

4/12/2025, 1:31:39 AM