鏡の中の自分に
最近……鏡を見ると、そこに写る自分のことが不気味に写っていた。
普通だったら不気味なんて思うことはないのだけど。
だけど鏡を見れば、笑ってないのにケラケラと笑う自分がいる。
それが不気味だと俺は思う。
最初の内は気味が悪いと目を逸らしていた。ソイツは俺に向かってこう言ったんだ。
『いつまで、目を逸らすの?』と……。
その言葉を俺は無視をした。
言葉を返したらいけないと直近で感じたからだ。
どう言えばわからないけど、呪われる気がしたから。
『逃げられると思ってるの?もう一人の僕』
鏡の先にいるもう一人の俺は小首を傾げながら訊ねてくる。
俺はそれが恐ろしく感じて、急いで洗面台、姿見、窓等……反射する物全てに新聞紙を貼り付けた。
見てはいけない、触れてはいけないと思ったから。
だけど……。
『無駄だよ〜』
「!」
背後から声が聞こえて、俺は恐るおそる振り返った。
鏡の中に居た筈のもう一人の俺が背後で不気味に笑いながら立っている。
その手には銀色に光る鋭い何かを持って。
『お前は逃げられないよ。一生ね』
その言葉を発した瞬間……そいつは俺を……
END
11/4/2024, 7:41:41 AM