誰よりも、ずっと。
「3人の魔女へ」
いつまでも、ずっと。
誰よりも、ずっと。
そんな、ことを簡単に口にするのは嘘つきの始まりで、ずっと愛してる、ずっと友達、ずっと見つめてる、ずっと君だけ、あなただけ…。嘘を積み重ね、そんなつもりじゃなかった、ごめんなさいと許してもらう為に直ぐに口先だけ謝る狡賢さ。アナタは何も分かっていないなんて平気で言えて、自分の傷には敏感で他人の傷には鈍感で、優しく有りたいと素直ぶり、正しい正しくないと騒ぐ魔女。
そんな可哀想な3人の魔女が昔々におりました。
ひとりは、甘いチョコレートが大好きでした。
ひとりは、桜もちが大好きでした。
ひとりは、麦茶が大好きでした。
3人の魔女たちは、嘘をつき夜ごと姿を変える不実な月を見上げては呪文を唱えます。何故なら3人は3人ではなく1人きりの寂しい魔女の自慰行為だったからです。
寂しい1人の魔女は夜ごと姿を変える月に名前をつけてソウルメイトにしたのでした。
これで、1人も怖くない。
あいつに仕返しだ。
魔女は月明かりの下呟くのでした。
これからも、ずっと
誰よりも、ずっと
私だけ見つめてる。
嘘を隠し夜ごと姿を変える月に誓う。
私を見つめ、私を傷つけるものを私は決して許さない…。
いつまでも、誰よりもずっとずっと追いかけ続ける、悲しい欲望の本当は1人の3人の魔女の自慰行為を月は見ていた。
誰よりも、そっと、ずっと。
2024年4月9日
心幸
4/9/2024, 2:46:44 PM